ご無沙汰しております。。。
歯の治療と同じで!?「ブログを書く」ということも、ついつい後回しになってしまうとその時にはすでに遅しということも・・(涙)
こちらのブログはすでにzeroアクセスとなっていると思われますが、今日は「イチゴイチエ」なことがあったので書いてみます。
篠山は初めてという大阪と新潟からの客人とダイニング茜で昼食をご一緒し、
そのあとは篠山の城下町をぶらり。
お二人の共通は「歯科技工士」。私ら歯科医が仕事をするうえで欠かすことのできない方々です。 新潟の客人はTeiCoさん(注:外人さんではありません)。 大学病院時代の臨床でお世話になり、「絶対失敗できない!シビアなケース」をお願いしていました。 例えばこちら↓ 右上第1大臼歯と第2大臼歯にかぶせものを入れるというケースですが、第2大臼歯(一番奥銀の土台状態。現在は土台に銀合金は使用しませんが)はトライセクションという処置がなされています。 これは、 上顎の大臼歯の3本ある歯根のうちの 1本を切断して抜いてしまう治療法です。 歯根が折れてしまったり、穴があいてしまったりして残しておくことが不可能だけど、 他の歯根は残せそうだという場合に行われます。 メリットは当然「天然歯が残せる!」ということですが、デメリットは一般的には予後が短いということです。それは歯根の減少により咬合負担に負けやすい。また清掃性の難しさから歯周病の悪化や2次齲蝕の発生等が起こりやすいということです。 慎重を期すためプロビジョナル(いわゆる仮歯)で一定期間フォローアップし、 模型もより口腔に近い状態を再現すべく歯肉状態を再現した(ピンクの部分は歯ぐきのように柔らかい)もので歯間ブラシ等がうまく挿入できるかを歯科医師、技工士でディスカッションしながらかぶせものを作製します。 さらに!その出来上がったかぶせものを仮のセメントで装着して一定期間フォローアップし、清掃性やかみ合わせに問題がないか確認します。 この症例では4か月後に仮装着を外し、セメントが唾液で溶解するウォッシュアウトの有無を確認しました。(これが少ないほどフィットがよく脱離しづらいという判断材料となります。) 装着直前の歯ぐきの状態です。赤みや腫れもなく良好な状態と言えます(装着状態の写真がありませんorz)。 その後私が病院を退職するまでの6年間は問題なく経過しましたが、現在はどうなっているのでしょうか。。 保険治療のかぶせものは2年という保証期間がありますが、補綴物は少なくとも5年。できれば10年以上は機能してほしいと思っています。 次は、本院でのケース。 TeiCoさんの師匠であるKataoKa先生にお世話になりました。 技工士界では知らない人は居ないと思われ、国内だけに留まらず海外でも著名な重鎮です! セラミックスによるかぶせものや詰め物を専門的に扱う技工士:セラミストを養成する大阪セラミックトレーニングセンターを立ち上げ、現在も技術の継承をすべく多数講演等で尽力されています。 左上2番目の前歯(側切歯)が引っこんでいるのが気になるとのことでした。 写真が無いですが、同部だけが反対咬合(下の前歯の後ろ側)状態。 虫歯の無い歯であったため、矯正治療を提案しましたが「ここだけを治したい」ということと、矯正治療の場合便宜抜歯の可能性についても説明するとなおさら補綴(かぶせもの等)での治療を希望されました。 補綴における限界やデメリットを模型にシュミレーションをした上で説明します。今回は清掃性と歯の向きから「抜髄:歯の神経をとってしまうこと」が必要と判断しました。虫歯もない歯の神経を抜くことは躊躇するところでしたが、矯正治療の場合の歯そのものを2本抜歯と神経1本を天秤にかけ後者の選択となりました。 こうなると安易に失敗などは許されません! KataoKa先生のプロビジョナルを口腔内で患者さん希望も踏まえ修正し、歯肉の安定を確認してファイナルへと進みます。
如何でしょうか?とても自然であると思います。
「反対咬合」も改善され、患者さんにもたいへん満足していただきました。
『あなたとこうして出会っているこの時間は、二度と巡っては来ないたった一度きりのものです。だから、この一瞬を大切に思い、今出来る最高のおもてなしをしましょう』
とのこと。
1本の歯の治療ということに関してもこのことを肝に銘じておきたいと思います。
(久々に長文疲れました・・)